山梨肺癌研究会会誌 第19巻1号 035-039(2006)

再発胸腺癌に対してカルボプラチン+バクリタキセル併用
化学療法が奏功した1例

松原寛知,奥脇英人,水谷栄基,進藤俊哉,松本雅彦,土橋洋

要旨
 症例は51歳男性。胸腺癌に対して平成12年6月30日腫瘍摘出術+左肺部分切除+左腕頭静脈+心膜合併切除術を施行した。しかし、腫瘍は左肺動脈と左室に浸潤していたため完全切除はできず、術後腫瘍残存部に対して放射線照射60Gyとドセタキセル少量投与による化学放射線療法を施行した。その後、約4年間腫瘍はコントロールされていたが、平成16年9月胸部CTで上縦隔、左胸腔内に突出する直径2.5cmの腫瘤影を認めた。全身精査の結果、その他の部位には再発、転移の兆候を認めず胸腺癌の再発と診断した。治療は、外来にてカルボプラチン+パクリタキセルの併用化学療法を施行した。化学療法は脱毛を除き、副作用を認めず、6コース継続することができた。腫瘍は縮小し、現在外来にて厳重に経過観察中である。胸腺癌の化学療法は確立されたものが少なく、肺癌に準じて治療されることが多い。今回の症例を通して、カルボプラチン+パクリタキセルの併用療法は胸腺癌の治療において一つの選択肢になるのではないかと考えられた。

キーワード:胸腺癌、カルボプラチン、パクリタキセル



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